西野監督の目標設定 「ポーランド戦批判」を考える

批判は「全くあたらない」と

W杯ロシア大会,日本がめでたく決勝トーナメント進出を決めたポーランド戦。巻き起こった戦い方への批判・非難はあたっていないのでは。

もちろん,日本チームの熱い試合を見たいと思ってロシアまでやってきた人たちは気の毒です。彼らには文句を言う権利はあります。でも,西野監督の選択への批判はどうかな?

W杯でありうる色々な目標設定

1)1試合の勝利(W杯未勝利のころは)
2)グループリーグ突破(今大会前の目標?)
3)ベスト8(セネガル戦後の目標)

西野監督が批判されている2つの選択

1)6人の先発入れ替え 2)残り10分のパス回し

1)6人の先発入れ替え について

日本は,グループリーグ突破を目標として大会に入っていったと思います。ところが,コロンビア戦の幸運な勝利(もちろん運だけで勝てたわけではありませんが)があり,セネガル戦での引き分け後は,ベスト8が最終的な目標に変わったと思われます。

目標が「グループリーグ突破」なら,先発6人入れ替えはあり得ないのですが,監督は,引き分けでも突破できるという優位を生かして,初のベスト8の可能性を少しでも上げるべく動いたのです。

もし,日本が一度もグループリーグを突破したことがなければ,目標を「グループリーグ突破」に設定して,ポーランド戦にベストメンバーで臨むべきです。先発6人入れ替えなどあり得ません。しかし突破の経験が2度あり,今回のような状況に恵まれたら,ベスト8に「チャレンジ」するのは当然です。だからこそ,先発を休ませるという「当然の策」を取ったのです。

2)残り10分のパス回しについて

前半は思惑通りだったのですが,後半リードを許します。さらにその後は押され気味で,同点を目指して攻めればさらに失点してしまいそう。もう一方の試合では,コロンビアがリードしたため,このまま終われば突破できるという状況。ポーランドはリードを保って一勝したい,コロンビアは勝ち切ることを目指し,一方,セネガルの攻撃はうまくいっていなかったということも条件となっています。

同点を目指すこととよりも,このまま終わらせることのほうがグーループリーグ突破の可能性が高いと監督は判断しました。もちろん,これが「当たる」保証はありません。ですが,しょせん勝負の世界。あとは運にまかせて,目標達成のために一番確率の高い道を選んだのです。

そして,西野監督はこの「かけ」に勝って突破という目標を達成し,同時に,ベスト8に挑戦する態勢を整えました。もちろん,それでもベルギーに勝てる可能性が大きくないことは変わりませんが,最善をつくしているということです。

この試合だけを視野に置けば批判したくなりますが,大会全体を見ると理解できる采配なのだと考えます。なので,サッカーに詳しい人の中に,非難する人がいるのは理解できません。

たとえば,セルジオ越後さんは「世界中が見ている」と批判しています。http://www.sanspo.com/soccer/news/20180630/jpn18063015430040-n1.html(SANSPO.COM)
確かに,過去,潔く戦って感動を呼び起こした弱小チームはあります。でも,勝てるチャンスがあればそれを生かそうと最善をつくすのはいけないことでしょうか。セルジオさんは,敗者の美学を語るタイプの人ではないと認識していますが。

金田喜稔さんの記事も残念です。「ここまで来たなら初のベスト8を目指してほしい」と言っていますが,そのためにこそとられた作戦なのですら。
http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=43132(サッカーダイジェストweb)

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。