テーマはクラス会? 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
時間があったので,何年かぶりに小説を読んだ。村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』だ。
小説に書かれている内容は,現実離れしているというてんでは,どんな作家のどんな話でも突っ込みどころ満載で,村上の世界観もまた同じである。(ドリーさんのAmazonの書評での「つっこみ」は秀逸。)
彼の小説の主人公は,都会に住む独身男性で,仕事は普通以上にできる。社交的ではないが,彼女には困っていないが,孤独だ。これは相当にキザで,それに技巧をこらした比喩が拍車をかける。レイモンド・チャンドラーの影響なのか。(「長いお別れ」しか読んだことはないが。)アンチ村上はここがいや。
一方,少し変だとは思いつつも共感できる人がファンになる。近年言われる「ヤンキー」的なものを,心地よくバッサリ100%排除しているのが村上作品だ。だから私は肌が合う。
まあ,確認できるのは,高校時代バカだったやつは,年をとってもやっぱりバカということくらいなんですけどね。
孤独な主人公は非「ヤンキー」
小説の面白さは,そこに描かれている心情に同意できるかどうかで左右される。だから,その作家を好きか嫌いかは,読者の考え方と経験で決まる。小説に書かれている内容は,現実離れしているというてんでは,どんな作家のどんな話でも突っ込みどころ満載で,村上の世界観もまた同じである。(ドリーさんのAmazonの書評での「つっこみ」は秀逸。)
彼の小説の主人公は,都会に住む独身男性で,仕事は普通以上にできる。社交的ではないが,彼女には困っていないが,孤独だ。これは相当にキザで,それに技巧をこらした比喩が拍車をかける。レイモンド・チャンドラーの影響なのか。(「長いお別れ」しか読んだことはないが。)アンチ村上はここがいや。
一方,少し変だとは思いつつも共感できる人がファンになる。近年言われる「ヤンキー」的なものを,心地よくバッサリ100%排除しているのが村上作品だ。だから私は肌が合う。
クラス会小説
読み終わって,「これって高校のクラス会みたいなものね」と思う。高校時代の人間関係(男女関係を含む)は,高校を離れるといやおうなしに,色々な形で失われていく。つくるのように劇的ではないにしても。それに対する後悔や疑念は誰しもがもつもの。10年以上の時を経て集まった者たちは,引っかかっているものの正体を少しばかり明らかにし,自己を確認して,孤独ながらも前に進んでいく。まあ,確認できるのは,高校時代バカだったやつは,年をとってもやっぱりバカということくらいなんですけどね。
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