PC・スマホから受信料を取るための「第一歩」 NHKの常時同時配信

NHKが全番組をインターネットで同時配信できる,という放送法改正案が5日,閣議決定されました。テレビと同じ内容を,常にネットに流せるようになるのです。

NHKの危機感

放送や新聞などのオールドメディアがネットに利用者を奪われる中,ネットに進出したいというのは当然のことではあります。近頃のテレビCMは健康食品の通信販売のようなものばかり。若者がテレビを見なくなってきていて,このままでは確実に受信料収入が減っていきます。どうやったら収入を確保できるのか?とNHKは考えました。

民業圧迫だけではない不安

民間放送局からは,NHKの常時同時配信は民業の圧迫だという批判が出ています。しかし,もっと重大な問題は,この後に起きる「スマホやPCからも受信料を」という動きです。これが実現すればNHKは安泰です。「そんなことは書かれていない,取り越し苦労だと」いう人もいますが,違います。その理由は。
 http://news.livedoor.com/article/detail/16129389/
(NHKのネット同時配信、受信料「PC・スマホからも請求」は間違い 弁護士ドットコム)

心地よい受信料制度

受信料を払わない人がいて不公平という問題が言われます。解決法の一つがスクランブル化です。そうすれば,見ているのに受信料を払わない人を確実に排除できます。しかし,NHKはそれは望みません。なぜなら,自らの意思で契約してくれる人からしか料金を徴収できないので減収となるからです。

もう一つの方法は税金化です。これもNHKにとって望ましいものではありません。なぜなら,政府に100%コントロールされるようになるからです。籾井会長の時代はともかく,一応,現状の法律では,NHKは独立した報道機関であるとされているのです。

NHKにとって現状の受信料制度は,確実に収入が入り,政府からはある程度自由な立場(政府からは野党寄り,野党からは政府寄りと批判されるような立場)でいられる「最も居心地の良い状態」なのです。

少しの拡大解釈でネットからも受信料がとれる

ですから,NHKは受信料制度を維持したいのですが,このまま制度を維持したとしても,収入が減っていくことは明らかです。そこで,「すべての番組を同時配信する=放送と通信は一体化しているのだから,ネットにつながっている機器を持っていれば受信料を支払わななればならない」という理屈で放送法を「少しだけ」拡張しようという動きがこれから強くなるのです。

なにしろNHKには,テレビ以外の機器(スマホなど)から,ワンセグ放送が受信できるという理由で受信料を徴収しようとしてきたという実績もあります。

「公共放送」に9波は必要?

NHKは,放送法で決められているから受信料を払う義務があると主張します。もちろん,この律法が正当であるというとされる根底には「公共放送だから国民全体で負担を」という理屈があります。しかし,今のNHKは9波!(地上波2,衛星2,BS4K1,BS8K1,ラジオ2,FM1)を運営しています。これは公共放送のありかたとして妥当でしょうか。

公共放送として必要なのは9波のうちの一部でしょう。(地上波1,ラジオ1+ネットくらいでしょうか。)それを税金化した受信料(月千円以下で可能?)で運営し,残りは民間企業として運営するのが妥当でしょう。 もちろん,NHKとしては絶対に避けたいシナリオでしょうが。(公共放送部分は国有化で自由がなくなる,かつ民営化部分は民間との競争で経営が不安定に。)

「十年以内にPC・スマホからも受信料」という予想が外れることを祈っていますが。

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。