iOSの標準フォントが明朝体な理由

iOSの標準フォントは明朝体

iOS6から,ブラウザ(safari)の標準フォント(フォントの指定がない場合に使われるフォント)がゴシック体から明朝体に変わった。これを嫌がる人もいるが,この変更にはちゃんと理由がある。

印刷物は明朝体

私たちが読むウェブサイトの本文のほとんどはゴシック体だが,印刷物では明朝体だ。それは明朝体が読みやすく,本文のフォントとしてふさわしいからだと言われる。ではなぜPCの世界ではゴシック体なのか。

PCが普及を始めたころ,画面はたったの640×480(PC-9800では400)ドット。この環境では,文字は「ドット絵」状態。漢字が16×16ドットでは,明朝体で表現できる能力はなかった。そして,今でも,多くのPCは1366×768。この程度のドット密度で,アンチエイリアスをかけつつ,明朝体をしっかりと表現することはできない。だから,形が単純なゴシック体が使われてきたのだ。

Retinaディスプレイが状況を変えた

スティーブ・ジョブズが生きていた時代,iPhoneは一つの問題を抱えていた。Androidが画面を大きく,ドット数を増やしていったのに対して,ジョブズは3.5インチのスクリーンサイズがベストと主張し,さらに,どの端末でもデザインを同一に保つために,スクリーンの比率3:4を変えない(横を320ドットから480ドットなどにして比率を変えたりしない)とがんばっていたのだ。(もっともそれは,彼が亡くなった後,iPhone5でひっそりと捨てられ,今やウェブ制作者を悩ませるスクリーンの混乱にiPhoneもはまっているのだが。)

これを解決し,さらには競争相手に差をつけたたのがiPhone4から採用された Retinaディスプレイだ。ディスプレイの発達がタイミングよくAppleを救ったのだ。

これなら明朝体でもいける!

数年前から,iOSを先駆けとして,見出しやロゴに大変細い文字を使うのが流行っている。これは,スクリーンの高精細化が背景にある。今までははっきり読めなかったような細い文字が,くっきりと見えるようになっているのだ。

そして,iOSが動く端末のほとんどがRetinaディスプレイとなった今,標準フォントとして明朝体が受け入れられる状況ができた。

この世界,まだまだ面白い。







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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。