新三本の矢 と言うより「的」?
「三本の矢」は成功した? 総括なしに次へ
安倍首相は,経済政策の「三本の矢」を総括せずに(できずに?)「新・三本の矢」を繰り出した。「道半ば」といいながら「第二ステージ」へ移るなど,常人にはできない,自信と確信に満ちた発表。政策を総括せずに,新たに適切な政策を打ち出すことなどできないのだが。そこで,彼に代わって総括を。復習:「三本の矢」とは,大胆な金融政策・機動的な財政政策・投資を喚起する成長戦略
一本目の矢:目標をほぼ達成。(目標達成が良い結果をもたらすかはまた別。) 日銀を政府の思い通りに動かし,「異次元の金融緩和」を行わせた。円安・株高が作り出され,1ドル80円から120円へ。日本円の価値は2/3に下がった。賃金は,世界的に見れば大幅下落。テレビで見る欧米の都市での昼食はあり得ない値段に。最も恩恵を受けたのは輸出産業。中でもトヨタは膨大な利益。(個人的にはコンピュータの値上がりがつらい。)
円安誘導の成功に対して,物価上昇率2%は失敗。何度も期限を延長して「これから達成する」と言っているが。
もちろん,日銀の独立性を無視した手法は問題だが。また,株高は年金を株に突っ込んだことも要因。
二本目は目標未達。財政赤字を垂れ流したのに,経済は停滞。財政赤字が増えただけ。
三本目に及第点をあげている人はいない。具体的な方策は「規制緩和」ぐらいだったがそれもあまり進めていない。
総括すれば,目標は「未達」。きちんと反省すれば批判の的になるので,それをせずに,新しい政策目標を掲げて,「三本の矢」が成功したふり,あるいは国民が忘れてくれることを期待するのか。いや,もう,過去のことは忘れて,新しいことに取り組むということが精神衛生上良いのか。
新三本の矢は
「新三本の矢」とは,強い経済(GDP600兆円)・子育て支援(出生率を1.4から1.8に)・社会保障(介護離職ゼロ)。目標は掲げても,的(目標)を射る(達成する)ための矢(方策)はほとんど示されていない。本来これらは,全て「矢」ではなく「的」。初代「三本の矢」も,三本目 が失敗した理由は方策が示されなかったからなのです。
「介護離職ゼロ」などは,いくらでも借金ができるというならすぐにでも可能なのですが,そうでないことは安倍首相も理解していると信じたいのですが。
人間は,ピンチになると(精神的安定のために)自分で自分をだます動物だそうです。
なお,次の参議院議員選挙までには,GDPは,経済成長がなかった場合に3%上がることになっています。方法は算出基準の変更(研究開発費の繰り入れ)だそうです。
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