「検査数を増やせば医療崩壊が起きる」の理屈ががようやくわかった。でも……。
「PCR検査数を増やすと医療崩壊が」?
日本では「PCR検査数を増やすと医療崩壊が起きる」という主張がなくなりません。これがどんな理屈に依拠しているのか理解できずにいましたが,結局,特異度(陰性の人を正しく陰性と判定する精度)の問題でした。
(特異度99%は,陰性の人を100人検査すれば1人が誤って陽性とされる状況。また,「感度」は陽性の人を正しく陽性と判定できる割合で,現在60~70%と考える人が多い。)
100万人に検査を行った場合
100万人に検査を行った場合を考えます。
1)感染率0.1%,感度70%,特異度99%ならば,
本来の陽性が1000人に対して,検査で陽性とされるのが7000人,擬陽性(感染していないのに陽性と判定)が1万人弱
検査が医療崩壊の原因になるというのがこのモデル! でも特異度は,ニュージーランドや岩手県の実例などからも99.9%以上,100%未満だと推測されます。
https://plaza.rakuten.co.jp/techmfg/diary/202008020000/(「One of my favorite thing is…」 )
2)感染率0.1%,感度70%,特異度99.95%ならば,
本来の陽性が1000人に対して,検査で陽性とされるのが700人,擬陽性が500人弱
3)感染率1.0%,特異度99.95%ならば,
本来の陽性が1万人に対して,検査で陽性とされるのが7000人,擬陽性が500人弱
結局,どうしたらよいのか
感染率の低い段階では「リンクを追う」ことを中心に。感染率が0.1%程度なら,医師が可能性があると認めた(感染の可能性が高い)人をすぐに検査,1%以上なら「広く」PCR検査を行うのが有効だろうというのが私の現在の結論です。
擬陰性の人が感染を広げる?
検査拡大に反対するもう一つの根拠が「陽性の人が陰性と判定さた人がそれまでより多く活動して,かえって感染を広げる」というものです。
しかし,検査で陰性とされた人が行動を変えるでしょうか? うつされないようにする行動とうつさないようにする行動は基本的に同じなので,陰性ならば「うつされたくない」と思い,今まで通り三密をさけ,マスクをつけ続けるでしょう。もちろん「はしゃぐ」人もいるでしょうが。
陽性者(無症状)が,その一部とはいえ隔離されることのメリットは大きいでしょう。もちろんコストも増えますが。そのバランスの判断は難しいところです。
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