NHK「値下げ」の裏に 全てのコンピューターから「受信料」を 

先日,NHKの受信料を値下げするという検討が総務省で進んでいるという報道があった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H3U_S6A720C1EE8000/

実は,これは国民にとって「うれしい」ニュースではない。その理由は。NHKの受信料徴収システムは,「テレビを設置すること」=「NHKを受信すること」という時代に始まった。その時代には合理性をもっていたのだけれど,現在では「テレビを設置」していても,それでNHKを視聴する時間の割合は一般的には数十%から数%だろう。

「NHKは見ないから受信料は払わない」は,昔は詭弁だったかもしれないが,衛星・CS放送,ケーブルテレビなどが普及した今では,本当に見ていない人も一定数いる。テレビをめぐる状況が一変したにもかかわらず,実情に合わないやり方を続けているから,不満を持つ人が増える。

現在NHKは,単身で生活していてテレビを持っていない人から,「スマホをもっているなら受信料を払いなさい。なぜならワンセグ放送が受信できる受信機だから」と主張している。実際,徴収されている人もいる。テレビを持たない単身者が増えているので,これでは受信料が先細りすると考えたのか。さすがにワンセグ機能の無いiPhoneからは取れないようだが,Androidなら何でもワンセグが受信できると誤解している担当者もいるようだ。

そして「油断ならない」のは,先ほど紹介した記事の最後にもある「インターネットでの番組配信の財源のあり方の検討」である。結論は,「すべてのコンピューターから受信料をとろう」となる。TVチューナーのついたコンピューターだけでなく,「ネット配信の番組を視聴できる=インターネットを閲覧できるすべてのコンピューター」が対象だ。そうしないと「ネット配信」の費用がまかなえないという理由で。

たとえて言えば,「車を持っているなら,全ての人が高速料金を払いなさい。そうしないと,高速道路が維持できないから」というのと同じこと。「私は高速を使わない」といってもだめ。



競合するメディア企業もこれではたまらない。すでにNHKは「受信料」制度で収入が確保されており,TV4波,ラジオ2波があたえられているという,大変有利な競争条件におかれている。一方で民間のメディア企業は,加入者を確保するのに並々ならぬ努力をしているのに。

こういう部門こそ民営化が必要なのでは。公共放送としてのNHKは残す必要もあるとは考えるが,それは地上波TV1チャンネルと,ラジオ2チャンネルで十分。それ以外は民営化したほうが,報道の自由を守れる可能性も高くなると思うのですが。

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。