英語教育改革は,カラス除けの黄色いネットだ

カラスのゴミあさりを防ぐために,黄色い網が効果的という知識が広まったことがある。しかし,カラスは黄色が嫌いではないので効果はなく,おかげで街には不似合いな黄色いネットが点在していた。
(「カラスは黄色が嫌いってほんと?http://homepage3.nifty.com/shibalabo/crow/yellow/yellow.htm をご覧あれ。)

さて,文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」が26日開かれ、英語教育改革に関する報告書が出された。
内容は,5・6年でおこなっている「外国語活動」を正式教科にし,外国語活動は3・4年に前倒ししようというもの。

現在進行中の英語教育改革の基本となっている考え方は,「できるだけ早い時期から始めれば英語を使えるようになる」のようだが,これは明らかに間違っている。

1.普通の人々は経験的に知っているはず

小さなころから子供向けの英語教室や教材で英語を学んできた人は多いが,それで成果を上げた人は限られている。これは事実。

2.母語としての言語習得と,第二言語の習得を混同している。

まだ母語を習得していない幼児期に,英語で生活をする環境の中で育てば,英語は習得できる。アメリカ人はそうだし,日本人も同様に日本語を習得してきた。

成長してからではそれは難しい。これは正しい。しかし,母語を習得した子供が,英語で生活しない環境で学校で英語を習っても習得は難しく,困難さは小学生で始めても中学生で始めても変わらない。

母語と第二言語では習得のあり方が違うというのは,英語教育の世界では常識のはずなのだが,そう思わない英語関係者がいるのはなぜなのだろう。

このようなことから,改革によって日本人の英語の能力があがることはない。日本の未来はどうなってしまうのだろうか?


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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。