サッカー日本代表が強くなった理由

サッカー男子オリンピック代表は残念ながらメキシコに負けてしまったが，戦前の予想を大きく上回る活躍をした。その強さは，A代表と共通したものであると私は思っている。

ザッケローニ監督就任が日本の成長の大きなターニングポイントとなっている。

それまでの日本代表には３つの大きな弱点があった。中東勢との戦いではボールを支配するもなかなか得点できず，カウンターでやられる。オーストラリアにはロングボールを放り込まれやられる。強豪国とは，初めは激しいプレスをかけて善戦するが，後半ばててやられる。

ところがザッケローニ就任後は，カウンターを受けることが少なくなった。結果，中東勢には負けない。オーストラリアに放り込まれてもなんとか守る。強豪国相手にも最後までばてずに戦えるようになった。それはなぜか？

ザッケローニのセンターバックは吉田と今野である。今野は背が低い。なのに闘莉王・中沢より守れている。これは，センターバック自体の守備力の問題ではなく，チームとしての守備の問題なのである。

オシムから第二次岡田の時期には，格上の相手にむやみに前からプレスをかけて主導権を握るが，後半ばてて続かずということが多かった。ヨーロッパではそんな幼稚な守りをすることなど考えられない。いかに効率的にプレスするかと考えることが当たり前。

プレスの仕方，組織としての守り方の基本をザッケローニは教えたのだろう。やたらに追いまくらないから最後までプレスを続けられる。ロングボールには，パスの出し手を自由にさせないことで対応している。カウンターに対しては，ボールを失った後に激しく取り戻しにいくようになっている。

このような考え方はヨーロッパでは常識なのだろうが日本にはなかった。これが日本代表躍進の一番の原因である。

日本サッカーの強みにである俊敏さ・技術の高さ・規律ついてオシムは的確に指摘したが，それを生かすことができたのがザックなのである。

もちろん，日本選手の実力の底上げがあったからこそ可能になったことだが，日本選手は実は日本人が思っている以上に力があるということを納得させてくれたのがザックなのである。


今回は守備についてのみ書いた。攻撃については以前の投稿「サッカー日本代表は史上最強？」をご覧ください。