外角一辺倒のリードは正しい?

6月17日,ファイターズの武田勝投手は完封直前の9回,スワローズのバレンティンに3ランホームランを打たれて逆転され,負け投手になった。好投しながら勝てない時期が来るというのが彼の特徴で,昨年もこんな時期があった。そこには,彼が投げるとチームが得点できなくなる何らかの理由があるのだろうが,それは今回のテーマではない。

今回のテーマは,「長打を警戒」という場面になると「外角一辺倒」というリードのことである。大野捕手の要求は,ホームランを打たれるまですべて外角であった。このような偏ったリードをする捕手は多い。「外角低めは長打を打たれない」という「常識」がそうさせるのだが,それは「過去の」常識である。

確かに,数十年前の非力なバッターの時代には正しかったのだろう。例えば,王選手のホームランは,内角高めの球をやや詰まりながらというのが典型的パターンだった。

これも過去の常識である「ダウンスイング」では外角低めは打てないけれど,今の長距離ヒッターはそんな振り方はしていない。現在の彼らにとっては,外角低めを狙ってやや甘く入った球が一番のホームランボールである。なぜなら,そこはインパクトの瞬間にバットと手を一直線に伸ばせて,最大の力をかけられるところだから。そこの球ならフルスイングできる。

その上,今日の大野のように,外角一辺倒の攻めをすれば,バッターは非常に有利だ。インコースの球が来ないのだから,ストライクゾーンが半分の幅になったと同じ。もう,外角に「およがされる」心配はないのだから。

「内角攻め」によってホームランバッターが不調に陥るということが時々みられる。内角高め(やや内に入っても高めであればよい)にストレートを投げておく,というのが実はホームランを防ぐ方法なのである。


野村克也氏は外角低めを「原点」と呼んでいる。ただし,そこにさえ投げておけば良いというのではなく,そこに投げたうえでコンビネーションを組み立てていくということだと私は理解している。

私には本格的な野球経験はないが,プロ野球ウォッチャーとして真摯に観察していればわかること。「経験」という先入観にとらわれたベテランのプロ野球経験者の中には見えていない人もいる。解説者の話を聞いていると,そういう人,結構いますよね。

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。