事実にこだわらない安倍内閣に不安 麻生大臣のオルタナティブ・ファクト

麻生氏は3月30日の記者会見で,「新聞は努めて読まないようにしているから詳しくないが、TPP11の扱いは小さかった」と新聞を非難した。

自らが重要と主張する問題について,国会という場で,「一行も書かれていない」と新聞を非難しているのだから,相当な覚悟と確実な根拠が必要だ。しかし,確認が行われた様子はない。「一行以上」書かれていたことを知るのは簡単なのに。調印した都市であるチリのサンチャゴをペルーのリマと間違ったのは,TPP署名を「重要な問題」と考えていない人ならご愛敬と言えるが。

「一面に書かれていない」と言おうとしたと弁明しているが,それと「一行も書かれていない」のとでは明白な違いがある。さらに,日経新聞では一面に載っている。

新聞を「努めて読まないようにしている」ので,TPPの記事を一行も読んでいない=新聞に載っていない,というのが麻生大臣の頭の中で「事実」として成立していたのであろうか。

「自分の好みの情報にしか接しない」結果,歪んだ世界観が形成されるというネット時代の情報接触の問題を,日本の内閣の中心となっている政治家も抱えているということが私を不安にさせる。

「裁量労働制のほうが一般の労働者よりも労働時間が短くなることもあるというデータ」も,誤った統計の利用方法で厚労省がつくりだした「フェイク・データ」だった。ただ,内閣にに都合の良い情報だったので中身を「精査せずに」利用した。上西教授の指摘をきっかけに裁量労働制の適用拡大はとん挫したが,それまで問題を指摘できなかった野党の政治家たちもお粗末ではある。

自己の思い込みを事実より優先させる。これが安倍内閣の政治に多く見られるから不安になる。日本だけではない,今の民主主義の病なのかもしれないが。

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。