トランプは知っている？ 米の自動車生産台数は増加中という事実

アメリカのラストベルトでたくさんの失業者が出ているのは，「アメリカの自動車生産が減ったから，その原因は輸入が増えたから」という風に思っている人はいないだろうか。少なくとも，次期アメリカ大統領はそう主張しているのだが。

統計をみると，アメリカの自動車生産は，2009年の生産の落ち込みから順調に回復し，2015年にはほぼ2000年の水準にもどっている。生産が近年「増えている」というのが事実である。

では，なぜ自動車産業の中心であったデトロイトは失業者であふれていると言われるのか。アメリカ国内の生産台数が減っていないのだから，生産拠点が「米国内の」別の場所に移ったからというのが合理的な推論。とすれば，これはアメリカの「国内」問題であり，貿易の問題ではない。

post-truthが流行語になっているが，根拠に基づかない主張はこわい。

ちなみに，アメリカでは一般家庭で乗用車より小型トラックが売れている。日本でアメリカ車が売れない理由はここにある。