憲法を守らされるのは誰? 憲法について考えた(1)

憲法記念日にちなんで。

憲法の改正要件を変更しようという動きがあります。改正要件が厳しいために憲法を変えられないのはよろしくないということなのでしょう。では、要件をゆるくして「何を」改正したいのでしょうか。

その内容は自民党の憲法改正案を見ればわかります。(全文は自民党のサイトをご覧ください。)

改正点1 「憲法を守るのは国民」

実はこれは、民主主義の根本に反するものです。条文は次のとおりです。
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自民党の改正案

第百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

日本国憲法

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
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民主主義の政治には、支配される人々を権力から守るための様々な仕組みが組み込まれています。権力がなければ社会が混乱し人々は不幸になるけれど、権力を制限する仕組みがなければ権力は乱用され、支配される人々の生活は破壊されるということは歴史に明らかです。

そうさせないための仕組みの一つが、「憲法をつくり、それを権力に守らせる」というものです。これが民主主義における立憲政治です。憲法は「国民」に守らせるためではなく「権力を行使する人」に守らせるためにつくられたのです。

このように見ていくと、自民党の案は民主主義の立憲政治を理解していないということになります。理解しているのならば、「国民が憲法を尊重する」が、「権力が擁護する」の前にくることはないのです。(つづく)

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masao
ゲイツ,ジョブズ,さんまと同じ1955年生まれ。 この春から自由人?に。