札幌オリンピック招致アンケートは「誘致PR」？　賛成が過半数というが

先日，札幌オリンピック招致の賛否を問うアンケートが行われ，市民対象の郵送によるものでは賛成が５２％と過半数を少しだけ越えたと発表されました。私のところには調査票が届きませんでした。どんな内容だったのか知ろうと市のサイトを見ると。

https://www.city.sapporo.jp/sports/olympic/documents/questionnaire2030.pdf（調査票）

調査票には問１～問９までの質問が。しかし，前半の質問は全て質問の形を借りた，誘致したい側のオリンピックPR活動となっており，回答者を誘導しています。

問１から問７まで，オリンピックをやった方が良いと市が考える理由が並びます。そして，その説明に納得したかどうかを聞いています。例えば，

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問１　札幌市では 2030 年大会について、「単なる一過性のスポーツイベントではなく、北海道・札幌が将来に渡って輝き続けるためのまちづくりに関するプロジェクト」としています。この内容について、あなたはどう思いますか。

　１理解した２理解できなかった３わからない

問２．冬季パラリンピックは北海道・札幌市で初めての開催となります。札幌市は、パラリンピックの開催が、障がいの有無に関わらず誰もが生き生きと暮らせる「共生社会」の実現に貢献すると考えています。

問６　札幌市では財政面の考え方として、「大会の運営のための費用は、IOC（国際オリンピック委員会）の負担金やスポンサー収入などで賄い、原則、税金は投入しない計画」としています。
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答を一方に導くような「質問」の後に賛否を問うのは公正ではありません。公正な質問とするなら次の様に賛否を並べるべきでしょう。

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問１　オリンピックは「札幌が将来に渡って輝き続けるためのまちづくりプロジェクト」と市は主張しています。一方，「一過性のイベントにすぎないと」否定する意見があります。あなたは市の主張に肯定的ですか，否定的ですか。

問２．市は「共生社会の実現に貢献する」と主張していますが「抽象的でその根拠はない」と否定する意見があります。

問６　市は「大会の運営のための費用に税金は投入しない計画」としていますが，計画は黒字でも，費用が増えて赤字になることが東京など近年の通例」とする意見があります。
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誘導ありとなし，反対意見ありとなしでは，少なくとも数％程度賛否は動くのではないでしょうか。このようなアンケートの設計には素人ながら疑問があります。プロの見方ではどうなるのでしょうね。

そもそも誘致したい人たちが実施するアンケート調査に，公正な結果は期待できないというのが根本的な問題ではあるのですが。

なお1万人に調査票を送付，回答者数は5775人とのこと。つまり，賛成３０％，反対２３％，わからない・答えたくない４７％とも言えるのでは。そして，答えを返送しなかった人の意見を知りたいです（無理なのはわかっていますが）。

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