読売新聞の思い込み 吉田茂が9条解釈変更の先駆者?
読売新聞は5月16日一面で, 次のような主旨の記事を書いている。
それが国連加入の条件であるとか,用意であるとか, 再軍備の目的であるとかはすべて当たらない。 日本の治安をいかに維持するかというところにその目的があり, 従ってそれは軍隊ではない。」
吉田こそ憲法9条解釈の大転換を果たした先駆者である。
吉田茂は憲法制定当初,「自衛権の発動としての戦争を放棄した」 との憲法解釈をしていたが,1950年警察予備隊ができると,「 主権国家は自衛権を持つのは当然」と大胆に主張を変えた。
これは事実と異なりますね。 吉田首相は制定時に,「日本は自衛権を持つが,戦力をもたないので自衛権を戦争という形で行使できない」 という主張をしている。(資料1) この時点ですでに,「 主権国家は自衛権を持つ」と主張しているのだから,警察予備隊ができたときに「大胆に主張を変えて」自衛権を主張することなどできない。
そもそも吉田首相は,警察予備隊は国内の治安維持のためで,自衛権とは関わりないと主張している。(資料2)
安倍首相を吉田茂になぞらえたいのだろうが, 誤った前提で行われる議論は空しい。
資料1
1946年(昭和21)6月 吉田茂首相,衆議院での答弁
「戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ, 直接ニハ自衛権ヲ否定シテハ居(お)リマセヌガ, 第9条第2項ニ於(おい) テー切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果, 自衛権ノ発動トシテノ戦争モ, 又交戦権モ放棄シタモノデアリマス。
資料2
1950年(昭和25)7月 GHQマッカーサー元帥, 警察予備隊創設命令に関する吉田首相の参議院での答弁
「警察予備隊の目的は全く治安維持にある。
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