「相続税が高いから,高齢者の所得が若者に移転されない」大前研一氏の説が理解できない
大前研一氏は,日本経済を活性化させるには,資産を溜め込んでいる高齢者から若い世代へ資金を移転させ,消費させることが必要だと主張する。そして,それを妨げているのは高い相続税だというのだが。
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その有効な方策の一つは、高齢者から若い世代に資金を移転することだ。しかし、日本ではそれが非常に難しい。相続税は税率が10~55%と高い上、基礎控除額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」でしかない。
※SAPIO2016年4月号
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相続税から逃れるためには,財産を消費するしかない。だから,相続税が高いほど消費しようという動機は高まる。「税金で持っていかれるのはバカバカしい」から。逆に,相続税が低いほど消費の動機は減少する。だから私には,「相続税が高いと若い世代への移転が進まなくなる」という彼の主張が理由できない。
相続税としてより多く税金を集めて若い人たちのために使う,たとえば今話題の待機児童解消のために使うというのが最も確実な「若い世代へ資産を転移させる」方法では。もちろん,政府が,そのお金を企業減税のために使うというのも「政策選択」の選択肢だから,政府次第だが。
相続税がかかるだけの資産をもっている大前氏がの「自分の子供への相続時にたくさん税金を払うのがいや」という潜在意識が,論理的に考えると理解不能な主張をさせていると思えば,なんとか理解はできるのだが。経営コンサルタント業で付き合う紳士たちには受けるのかな。
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